………ぎょっとしましたね。

妖怪の仕業だと、真っ白な頭にその二文字がただただ回っておりました。

ややは、女中が何とか二人に分けようと努めた風で、切り分けられておりました。

しかし、血溜まりの中で、それでも子供は弱ることなく元気に泣き叫んでいるのです。

妻は、衝撃のあまりに、命を落としておりました。

私は、半狂乱になりました。

半狂乱になって、ふたつに分けられた子供を、河へ流してしまいました。

和尚は、大きくため息をついた。

─半身の、子供。

咲重郎は、震えた。

(私ですか?私は、お江戸のずっと南の方から、売られて来たんです。)

(私はね、拾われたんですよぅ。河辺へ流れついた、孤児さ。)

しづは、おしづは、

(咲重郎さん。)

左の腕と、足が、なかったのではなかったか。

(ねぇ、咲重郎さん。)

そうだ。

愛人のおしづは、半身の遊女だった。