「うひゃー、本当にとってきたのかよ。

おいら、もう美名さえ無事に戻ってきてくれればってそれだけ願ってたけど……

いったいどうやって、採ってきたんだ?」

「うん、それはね……」

「その話の続きは、後だ。

とにかく今は、一刻も早くオリュンポスに戻って、プロメテウスに次の指示を仰がなくては」

「そうだね。じゃあ、戻ろう」

「おう。きっと太陽も美名のことを待ってるぞ」

そう言われて美名は太陽にされたキスのことを思い出し、顔を赤らめた。

「ほらほら、パン。美名をからかうんじゃない。

それじゃあ、出発するよ。しっかりとつかまっているんだよ」

こうして、美名とパンを乗せたアポロンの車はオリュンポスへ向けて岐路に着いた。


【ザクリ(涙)・完】