呆然と立ち尽くすことしかできない二人だったが、最初に動いたのは太陽だった。

「とにかく、ここでじっとしてても仕方ない。あっちの方から水の音が聞こえるから、とりあえず行ってみるか」

そういって太陽は美名の手を取って歩き出した。

「ねえ、太陽。私たち、夢でも見てるのかな? だって、家の中にいたはずなのに……」

「なんだよ、怖いのか? まあ、夢だろうと何だろうと関係ねえよ。何か危険なことがあれば、美名のことは俺が守るから、な」

いつも見慣れているはずの太陽が、いつもとは違ってずいぶんと大人びて見えた。

美名は、この胸の鼓動が怖いからなのか、それとも別のことでなのか速くなっているのを感じていた。

「おっ! どうやら川が流れてるみたいだな。あの川の水って飲めるのかな? ちょっと試してみるか。ここにどんだけいることになるかわからないし、とりあえず水の確保ぐらいしなくちゃな」