「ずいぶんと大人しく帰したものだな」

「何を心配しているんだ。

約束しただろう。

彼らが目的を達成したあかつきには元の世界に送り返すと。

そんなに信用ないか?」

プロメテウスは、ゼウスの目を見据えたまましばらく黙っていた。

さすがのゼウスも根負けしたのか、渋々という形で口を開いた。

「これは単なる私の勘だ。

彼らはまたいつの日かここに戻ってくる。

ただ、そんな気がしただけさ。

だから、何も今引き止めなくてもまたいずれ会えるだろうと……」

「なるほど。それはどれほどの確率で実現すると思っておるのじゃ?」

「おそらく、半々だろう。

しかし、それもまた一興。

我らには永遠の命がある。

この長い時の中でたとえ再び彼らに会えなかったとしても、また面白いやつらが我らの元へと現れることもあるだろう」


【エピストレフォ(帰還)・完】