「いや。それでもやっぱり太陽は悪くない。

むしろ太陽のことだから、ずいぶんと苦しんだんじゃないのか? 

この五年間、きっと想像以上に自分のことを責めて、僕に遠慮しながら生きてたんだろう? 

今の二人を見ればわかるよ。太陽は僕との約束を守ってくれてたんだね。

それに、なにより結局は、こうして僕のことを探しに来てくれたじゃないか。

エオスのところに現れた二人を見て僕がどんなに嬉しかったかわからないだろうね。

僕には、それだけで十分だったんだよ。

たとえ二度と元の世界に戻れなかったとしても。

それなのに、二人は僕のために、色々と手を尽くして一緒に帰れるようにしてくれた。

どんなに感謝してもしたりないよ

――本当に、ありがとう」

再びイデアは二人に心からの感謝を示した。

やっと太陽にも笑顔が戻った。

そんな二人を見てほっとしたのか、美名は子供のように泣き始めた。

オリュンポスに戻るまでのその残りの時間を、太陽とイデアは美名を泣き止ませるのに苦労する羽目になった。

二人顔を見合わせて苦笑しながらも、今のこの瞬間がとても幸せなものに感じられ、三人の絆はいっそう強いものとなっていった。


【ミラ メラ(運命の日)・完】