「それから? プロメテウス、まだ私に頼みがあるのではないのか?」

「お前に隠し事はできぬな。後ひとつだけじゃ。

彼らが目的を達成したあかつきには、元の世界へと戻る扉を開けてもらいたい。

これはこの世界の秩序を守るためでもある。やってくれるな?」

ゼウスはしばらく思案深げにしていたが、ゆっくりとうなずいた。

「よかろう。私の大事な息子たちを怒らせるわけにもいかぬからな」

周りで固唾を飲んで見つめいていたアポロン、ヘルメスそしてパンはいっせいに安堵のため息をついた。

「良かったー。ありがとうゼウス」

「オレからも礼を言うよ」

「私からもです。ありがとうございます」

三人の神々からそれぞれ頭を下げられ、さすがのゼウスも苦笑するしかなかった。

そこに、沐浴を済ませた三人が戻ってきた。

これでイデアを取り戻す準備はすべて整った。

後はエオスの宮殿に向かうのみだが、果たしてエオスはこの少年のことを気に入ってくれるのだろうか? 

二人の心配は尽きることがなかったが、もうほかに手立てはない。

すべてうまくいくことをひたすら祈りながら、一行は再びエオスの宮殿へと向かった。



【アポペラトシ(仕上げ)・完】