放課後になり、ゆいは生徒寮へ足を向けた。

肩掛け鞄を引っ提げた燈哉が、後ろからついてくる。

「どこ行くんだよ」

「今野先輩のとこよ」

「なんで?」

「昨日、彼女から情報収集するにあたって、彼女を守るって約束したわ。だから有言実行」

「律儀なこって」

「誠実って言って」

それから、

「どう、思う」

と、ゆいは話を転換した。

「なにが?」

「とぼけるんじゃないわ。昼休みの、瀬戸岡亜美のことについてよ。表情を見ながら話してたアンタの見解を聞いときたいの」

「そう……だな」

自分よりも数歩先へ進みながら、まだまだ青い空を仰いだ燈哉は、

「やっぱ瀬戸岡さんて美少女だよな。今時ないってくらいの大和撫ごっ!?」

「真面目に答えろこのウスラボケが!!」

昼休みから取っておかれたハイキックを、見舞った。

もっとも燈哉はたたらを踏んだだけで、倒れはしない。二階から飛び降りれる運動神経もそうだが、彼は丈夫なのだ。

「いってて……ったく、凶暴」

「アンタがバカ過ぎんのよ」

「っくぁ~、しっかし今のは効いた……」

しかしながら、さすがに涙目になった燈哉は、悪ふざけをやめる。