「さあて、どうかしら。聞いたことないわ。そうゆの、信じていないしね」

自分はリアリスト。超自然的存在、精霊たる木霊は信じない。しからば、昨日のあれは空耳だ。

ゆいの答えに、瀬戸岡は納得していなさそうだった。

ただ、「そう」と頷き、「そう」と俯いた。

だからゆいは気丈に、いつものように、「ええ、そうよ」と断言したのだった。