瀬戸岡亜美とはそれからいくつかの言葉を交わし、別れた。

「お見舞いは難しい」ということを伝えたのだが、人を放っておけない性分らしい瀬戸岡は、あの部屋を訪ねるに違いない。せっかく作られるおかゆが、あの二人の支えになるかどうか。

「お前もあれくらいかわいくなれよな」

「うっさい」

瀬戸岡と話している間静か静かだと思った燈哉は、たんに鼻の下を伸ばしていただけだったようだ。瀬戸岡の人気は男子に絶賛なのだ。だからといって女子から嫌われているわけでもない。人気者、というのだろう、瀬戸岡のような少女を。

聞き出した四辻は、学園内にいくつもあった。桜木学園はその生徒の多さもあり、学年ごとに校舎が異なる。つまり初等部から高等部まで含めると、総計十二棟もあるのだから、大変な敷地である。

そしてその四辻は、校舎と校舎とを繋ぐ渡り廊下だった。学園内の道が交差しているところも、当然木霊の四辻に該当していたが、『通路と通路の交差点』程度のところが多かった。もっとも、辻は辻だ。

渡り廊下と校舎の廊下が交差する辻のひとつで、八木麻衣子はこだまを聞いたという。