「アンタのそういうところ、治したほうがいいと思う、ほんとに」

「どうして」

「女の子の家に無断で侵入しといて、どうしてもなにもないと思わない?」

「……少女漫画を読んでることについてかと思った」

「アンタの趣味にはとやかく言わないわ。たとえアンタがゲイとか、女装趣味とか幼女趣味があったとしても、とやかく言わない。どうでもいいもの」

「手厳しいなあ」

と燈哉は苦笑し、それから、声にやや真剣味を持たせる。

「用事があったからな」

「用事があったら勝手に入っていいと思ってるの?」

だとしたら幼馴染みとして、今のうちに矯正してやらなければならない――と思ったゆいは、

「違う違う」

「違う? なにが違うのよ」

「ゆいは俺の用事を聞けば、不法侵入ぐらい許してくれるだろうって魂胆だよ」

「自分で魂胆とか言うな」

彼が少女漫画を勝手に読んでいた事実以上に、呆れた。彼が読んでいるのは、王子さまやお姫さまが出てくるゴテゴテの少女漫画なのだ。これ以上、幼馴染みに失望させられたくない。