妊婦が発覚した時、私はまだ中学三年生だった。

父親は…いない。


正確には、いるのだけど、彼は、ヒヨリの存在を認めてはくれなかった。だから、いないも同然。

私は15歳という年齢で、一人でこの子を産んだ。

当然高校へは行っていない。


今の時代、10代のママや、シングルマザーなんて珍しくない。


けど、やっぱり、田舎は、まだまだ批判的な声も多く、私も両親も、好奇の目にさらされて、辛い思いをたくさんした。


何度も言うように、私は両親が年をとってからの一人娘。しかも、両親は古い考え方をする人たち。


だから、私が妊娠したと知った時の二人の怒りようと嘆きようは、計り知れないものだった。


警察官のお父さんは、私が誰かに強姦されて身ごもったんじゃないかって勘ぐったくらい。


勿論、そうじゃない。


ヒヨリは、きちんと望まれて生まれてくるはず…だった。