愛用の剣。 毎日のように手入れはしていて、自慢じゃないが石すらも砕き切る切れ味を持っている。 持ち主たる彼が重々承知。 ウサギの耳を切るぐらい造作もない。 「…………、よ、し」 取れないなら、切っちゃえばいいじゃない作戦。 はっきりいって怖い、かなり怖い。 痛覚はあると知っているんだ、この異物を切るとは自前の耳を削ぎ落とすと同じことになろう。 だがしかして。 「俺はウサ耳なんか認めないっ」 こんなのは嘘だと信じ込む彼が、剣の柄に手を置いた。