ただ単にそれは、マンナカが立ち上がるためだけの動作の一つにすぎなかったかもしれないが。
四本足でしっかりと地を踏む獣は、歩こうとしていた。
「おお、かっこいいなお前っ」
「どっちが飼い主か分からなくなったな。犬の方が利口に見える」
「クロスとて犬より知能はありますよ。喋れます」
「……姫。なんか、それもバカにされてる気分になるんですが」
「グダグダ言ってないで行け。マンナカはもう先に行ってるぞ」
「へっ……、おいマンナカ。首輪とリードつけっから一人で歩くな」
「ああ、クロス。マンナカにそんな縛りはいりませんよ」
――それは、陽気さす優しい時間。
なびく風、草木の香り、温かい大地。
そうして何よりも、きらきらと光って見えたのは。


