眺めて見たのは、怪物に近づく彼女。 絵本を思い出した。 淡い絵が一枚出来上がり、ゆっくりと風の流れで進むような風景。 藍色の世界。 真っ黒の犬に手を伸ばす、赤い髪の女神。 壊れた呼吸音がなくなって。 「あなたの願い、叶えましょうか」 優しい女神様の声で、世界が明るくなった気がした。