右側の茂み。
かさかさと動く怪しい気配。


「出てこいっ。来ないのならば切りかかるぞ!」


姫を守る騎士としての姿。

勇ましく果敢で、彼女を守り抜くという強い顔つきでも。


「あ、クロス、ウサ耳がぴーんとしてますよ」


「っっ、それを言わんで下さい!」


思わず警戒態勢をといて、姫に向き直ってしまう。


「いや、クロス。かなり面白いですよ。あなたの感情でこのウサ耳は垂れたり、ぴーんとしたり……。少し触ってもいいですか?」


「人が一番気にしていることをつつかないで下さい!」


ぎゃーぎゃーと喚いている内に、しまったとクロスがようやく態勢を整えたわけだが。


茂みが大きく揺らぐ。

来るか、と地を踏みしめて。