「あの……」


「理解などしなくて構いません。ただあなたは私についていき、この世界の管理者――女王様たる人物を叩きのめせばいい。

私はあなたを追いかける役柄ですが、こうして捕まえて、そのあなたが女王様をぶち殺せば――失礼、倒せば物語は完全に狂います。

話の修正がきかなくなった物語は消えるしかありません。私たちが帰るのには、この物語を強制的に終わらせることが唯一の脱出策です」


「……………」


「ウサ耳は嫌かーっ」


「え、は、はいっ」


「ウサ耳を取りたいかーっ」


「はいっ、取りたいです!」


「そんな耳をつけた奴を殴りたくはないかーっ」


「叩きのめしたいですっ」


おおー、と拳を上げるクロスに姫は満足げに頷いた。