「陽菜ちゃん!こっちにきてくれるかな?」
そういって詩織はあたしの手を強く掴んだ。

そしていきなり私の指をカッターで切った。

「何するのよっ!」
私は怒った。だっていきなり指を切るなんて!
私のこの細くて長くてキレイな指を!!!

しかし詩織は私なんて見向きもしなかった。

そして今度は詩織自身の指を切った。

そしてそれを魔法陣の中心に垂らす。
魔法陣の中心には詩織の髪、私のケータイが置いてあった。
そういえばさっき私の血も魔法陣の中心に垂らしてなかった?

もしかして──………!
「そうだよ。」
後ろで低く声が響いた。私は肩をビクンっと震わせた。
いつの間にか詩織は真後ろにいたんだ!

「これであたしが死ねば呪いは完全になる。」

「呪い?バカげたこと言ってるんじゃないわよ!あんたが精神的に病んじゃっただけでしょ?」

そうよ…。呪いなんてあるはずがないじゃない……。

「さぁ……どうだろうねぇ?あたしが死ねば完全になる。そこで確かめればいい。呪いは存在するか、しないかをね!!アハハハハ」

そう言って笑い出してしまった。その次の瞬間だった。

「陽菜ちゃん?今まで色々ありがとうね!ふふっ。じゃあ詩織の恩返しの呪い楽しみにしていてね。ケータイと髪の毛に呪いはかかった。あたしが死ねば完全になる。さようなら!アハハハハ」

ザシュ────

鈍い音が教室に響き渡った。
そう……詩織は今日自殺をしました。
鉄の生臭いなんとも言えない教室。
震えて何も言えない生徒もいれば悲鳴をあげる生徒もいる。

そんな中立ち尽くしている少女がいた。

田中 琉架と陽菜だった──……。