目を閉じていたのは
久美子の思い違いであった。
信号を渡り切ると
また会話が始まる。



「明日も晴れるといいな」


「そ、そうだね。雨はイヤだしね(何だ…キスとかされると思ったのに……もしかして司馬チャンの好きってラブじゃなくてライクの方?なーんだ、割と鈍いかも)」


それから



「じゃここでいいです。送ってくれてありがとう」


「気をつけて」



司馬が後ろを向いて少し歩き始めた時、久美子は声を掛けた。



「司馬チャン!」


「え?」


「お仕事の邪魔しないから病院に行ってもいいですか?」


「いいよ…」


「良かった。んじゃまた今度」



久美子は軽い足取りで
地下鉄乗り場に向かう。



(「この恋は絶対にモノにしなきゃね!鈍い司馬チャンに振り向いてもらえるように頑張るぞ」)





3話終わり