「私もこの事は、前代のシェフに聞きました。シェフは、宏人様が赤子の時に捨てられたのを見つけ、拾ったそうです。」


「子供を捨てるなんて酷い…」

「そういう親もいるのです。宏人様は、ずっと母が探しに来るのを待っていましたが来ませんでした。宏人様は、『こんな捨てられた身分じゃお嬢様に会えない』とおっしゃっておりました。」


「そうだったんだ…。」


(こんな悲しい事があるなんて)


小さい時から宝物のように大切にされてきた私には考えられない事だった。