「ケイト、あれほど言うなって言っただろ 」
「樹里ちゃんが教えてくれるんだって 」
「何を? 」
ケイトはチラッと私を見ると、ニヤッとした表情を見せた。
「好…… 」
「あーっ! もうその話はいいから! 」
ケイトの口を塞ごうと足を跳び跳ねながら手を伸ばすと、ヒョイッと簡単に避けられてしまった。
「お前ら、そんな仲良かったか 」
そんな私たちのやり取りを見て、ふとルキアが呟いた。
「からかわれてるの! 」
それから私たちはさらに奥へと入っていき、大きな扉の前で足を止めた。
ルキアが押しても引いてもビクともしない。
「鍵がかかってるのかな 」
扉の左右上下を見渡しても、鍵穴らしき物は見当たらない。
「ヴァンパイアの世界に鍵なんてないよ 」
「全く無意味な物だからね 」
2人は当たり前のように顔を見合わせた。
「俺がやるよ 」
そうルキアは、扉の持ち手に付けられているライオンのような飾りの前に立った。