そうニヤリと笑うと、ケイトはキラリと尖った歯を見せた。
ゴクリと唾を飲むと、冷や汗が流れて来た。
モーガン、私が悪かった!
ごめんなさい、助けてーっ!
「まあ、いいや。 ルキアが悲しむからね 」
そう言ってケイトは腰を上げて窓の前に立つと、カーテンを少し開けた。
彼は空を見上げて、どこか寂しげな遠い目をしているように見えた。
ヴァンパイアに感情はない。
そう言ってたけど、その瞳は何を意味しているんだろう。
「あいつが今、どこで何してるか聞かないの? 」
突然そんな事を言い出して、何かを考えているようだった。
知りたいけど、聞いたってどうしようもない。
例え居場所が分かったとしても、私にはどうする事も出来ない。
「危ない事をしようとしてるって言っても、ここで待ってる? 」
「危ないって? 」
「あいつを信じて待つのもいいけど、ほんとに帰って来られるかな 」
どういう意味?
そう呟くと、ケイトは部屋を出ていった。
「待って! 」
私はおもむろに声を荒げた。
「連れてってくれるの? 」
慌ててドアを開けると、後ろ姿の彼にそんな言葉を投げ掛けていた。