闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~


そうニヤリと白い牙を見せると、彼女は私の方を見た。



その口元が恐ろしくて、私はルキアの腕にしがみつくと、彼の背中に隠れた。



「戦うのはお前だよ 」



瞬時に私のすぐ横へ姿を現すと、冷たい指で私の頬に触れた。



「ひぃっ! 」


「でも、私を殺せるかな? 」



そうフードとマントを外すと、その下から優希の笑顔が現れた。


そんな……また……



「お前、また血術を! 」


「これは血術ではない。 私の真の姿がこの体なのさ 」



そう得意気に笑うその表情は、私のよく知る優希そのものだった。



「さあ、剣で突くがいいわ。 あなたに出来るかしらね 」



ラティラは、そう口角を上げて両手を広げるとふわりと足を宙に浮かせた。


これは優希じゃない。


でも、あくまでも見た目は優希だから、それに向かって行くなんて出来ない。


しかも、もし体を乗っ取られて操られてるのだとしたら……無理だよ。


こんなこと、私なんかに出来るわけない。