今から300年ほど前、この村には多くの魔女が暮らしていた。



周りには、メドゥーサ率いるニュンペー(精霊)の島〝ヘスペリスの園〟。



人狼の森〝サルペス〟に人魚の泉〝シレーナ〟。



ヴァンパイアが住む街〝オリンゼア〟、そして魔女の村〝メゲーテ〟があった。



それぞれの部族・氏族が関わる事はほとんどなく、メゲーテは平穏な生活を送っていた。



だがある日、闇に浮かぶ月が赤く染まるという現象が現れた。



異様な空気に包まれ、村は不吉な胸騒ぎを覚えた。



あるヴァンパイアの集団が、人間以外の血を求めてこの地へ足を踏み入れたのだ。



突然の事で手も足も出なかった魔女たちは、術を使うも効かず、次々とヴァンパイアの餌食となっていった。



そこに1人の戦士たる者が現れた。



それはそれは美しくまた恐ろしい者で、その血はヴァンパイアたちを封印したと言われている。



その者はどこから来た何者なのかも分からず、忽然と姿を消した。



噂は魔界中に広がり、その血は〝純血〟と呼ばれた。



そして再び赤い月が姿を現す時、闇と共にあの純血を呼び覚ますであろう……と。