もちろん返事はない。 風の音が余計に静けさを増している。 私は気にしながらも、駆け足で森を後にした。 「お母さんっ! 」 花を摘んでいた母に勢いよく飛び付くと、ギュッと腕を組んだ。 「どうしたの。そろそろ戻ろうか 」 私はお母さんにしがみ付いたまま、2度頷いた。 チラッと後ろを振り返るが、特に変わった様子はなかった。 さっき、誰かに見られてる気がしたけれど、気のせいだったのかな。 とにかく、あの森は不気味だった。 気を付けよう。 改めて身が引き締まる思いだった。