ルキアと一緒に教室へ入ると、クラスのみんながこっちを注目した。


転校して来た時とは、また違う視線だ。



不気味に思いながら席に着くと、優希が興奮気味に話しかけてきた。



「樹里、今日は朝帰りー? 」



「止めてよ! そんなんじゃないし、声大きい! 」



私が慌てて「しーっ」と、中指を立てると、優希はニヤニヤとしながら前を向いた。



普通の音量で誤解を招くような事を言わないで!



「朝帰り......別に間違ってないけどな 」


「あーっ!んたは黙っててっ! 」



「しっ」っと、ルキアに目で訴えると、彼は微かに口角を上げて教室を出て行った。


その姿を見送って、私は机に倒れ込んだ。



朝から疲れた。



「まさか、あの2人付き合ってるのかな 」


「奏すら振り向いてもらえなかったのにね 」


「しーっ! それは言っちゃマズイでしょ 」



ふと芦屋の席を見ると、まだ彼女の姿はなかった。


さっきはあの集団の中にいたけど、どうしたんだろう。


別にあんな子、私が気にする事じゃないけどね。


私は体をのっそりと起こすと、教科書を机の中へとしまった。