闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~


私は紅茶を飲みながらテレビを付けた。



『昨夜10時過ぎ、由良市森間村で、この村に住む20代と見られる女性の遺体が発見されました 』



「やだ、森間って確かここの近くじゃない? 」


「嘘、そうなの? 」



私たちは手を止めて、テレビにかじり付くように見た。



『女性の首には、鋭利な物で刺されたような傷跡があり、事件事故の両面で……』


「おはよー 」


その時、まだ眠そうにあくびをしながらお姉ちゃんが降りてきた。



「うちの近くで変な事件だって。 なんか怖くない? 」



身震いがして、隣に座ったお姉ちゃんの腕にしがみついた。


「引っ越し早々物騒ね 」とすぐにキッチンへ戻るお母さんの姿は、あまり気にしているようには見えなかった。