コンコン 船長室の扉をノックする。 ノックするまでの間に十分もためらってできなかった。 「誰だ?」 分かってるくせに聞く。 「アシェルです」 男装なのに名前はそのまま呼ばれている。 「入れ」 ヴィルトスは意地が悪い。 私が掃除をするのを見計らって船長室に戻ってくる。 さっきの会話も。 もう何回同じ事を繰り返しただろう?