「本日はお集まり頂きまして誠に有り難う御座います。
この度わたくし高月ゆかりは使役を得て高月家の末席に名を連ねる事となりました。
若輩者故至らぬ所も多いですが、高月の名を背負うからには身命を賭す覚悟で御座います」

ゆかりが長口上を述べている間、マーナオはする事も無いまま列席者を眺めていた。
灯りに浮かぶ人々は、ゆかりを計っているのかマーナオを計っているのか、無表情でジッとこちらを伺っている。
人ではないマーナオには人間の意図など分からないが、その奥にうろ暗い期待があるのは読めた。

灯りが届かない範囲は、さて、どんな連中なのか。