マーナオは驚いたが、ゆかりは微笑んで、
「名だけで分かるとは、さすがは父上です」

ゆかりの父だと言うのなら、ゆかりの名乗りから高月家現当主なのだろう。

当主は持っていた笏でヒタとマーナオの眉間を指し、
「意識があるな」

「有りますよ」
ゆかりは余裕の笑みで答え、マーナオには脇に座るよう指示した。

わざわざ無理して逆らう意味もないので、マーナオは抵抗せず奥に控える位置に座らさせられた。

「そこも含め、皆様にご挨拶させていただきたく思います」


気がつけば散っていた人達が室内に集まりだしている。

「よし」
当主が頷き、ゆかりがマーナオの斜め前当主と並ぶ位置に座った。