自力で頑張るとか言った割に、アイツ何もせずに帰ったな。

別にそんな必死じゃなかったのか?

と、そんな事を考えながら、何気なくからかわれていた女子の方に視線を移したら、


(…寝てる?)


俯いて、頭をコクコクと揺らしている。

暫く眺めていると、始めは、前後に揺れていたのに今度は左右に揺れ始めた。


ー…完全に寝てんじゃん。


もうすぐ駅に着くってのに。

ちゃんと起きれんのか?

…ってか、俺、見すぎ?

心の中で一人自問しながらも、何故か視線は彼女から離れない。


彼女が着ている桜庭中央の制服は、緑と黒と黄色い線からなるチェック、って言うんだっけ?

…そんな色のスカートに紺のブレザー。

そして赤いネクタイ。

あの制服のスカートから黄色の線を抜いて、彼女が締めてる赤いネクタイをリボンにしたら、うちの高校の制服とほぼ同じ。

まあ、姉妹校なんだから似てても不思議じゃねぇんだけど。


その制服のスカートの膝あたりに両手を重ねて置いている彼女が、電車の揺れに呼応するかのように頭を揺らせば、彼女の髪もサラサラと揺れる。


(あの髪、触り心地良さそうだな)


とか思いつつも、実際に触ろうとは思わない。

俺、変態じゃねぇし。