神への挑戦

「ハヤトがやったのか?…んな訳ねぇか」

死体の状態を見たリュウは、ハヤトが殺したのではない事にすぐに気づいた。

「あぁ…これはジンがやったんだよ。意図も簡単にな…」

ジンは数秒たりとも躊躇せず、何のためらいもなく見知らぬ男達を殺した。先ほどの光景を思い出したのか、ハヤトはそう言葉を漏らした。

「だろうな。アイツは人を殺す事に躊躇はしない…睡蓮会の連中なら尚更な」

「…取りあえずはこんな馬鹿げた殺し合い、早く辞めさせないとな。ジンの元に急ぐか…」

ジンがこんなにも残虐な事をすると思っていなかったハヤトは、そう言葉を漏らす。止める暇などなかった先ほどの出来事を少し後悔しているのかもしれない。

「それは無理だ…あいつの目的は睡蓮会を完全に破壊する事だからな。根っこごとむしり取るまでジンは止まらないだろう」

「なら止めるまでだ。こんな事を積み重ねても恨みを買うだけだ…このままじゃジンはもちろん、俺もお前もタダでは済まなくなる」

死人を出した以上、ジンはすでに人の道を外してしまった。報復は免れないだろう…。

そしてそれはハヤトやリュウも同じだった。

「俺は元より死ぬ覚悟は出来ている。こんな世界で生きていてもつまらんしな…」

「随分とありきたりな事を言うんだな。つまらないから死ぬのか?だったら勝手に死ね…人に迷惑をかけない様にな」

そう言うとハヤトは、リュウを置いてジンが消えた通路の奥に走って進んで行った。

どうやらハヤトは逃げる事は選ばず、進み事を選んだようだ。

「ふふっ…ここまでジンの予想通りだとはな。やはりハヤトをこの場所に導いたのは正解だったようだ」

リュウはそう言うと、ハヤトの進んで行った方向に少し遅れて進んでいく。ジンがハヤトのこの睡蓮会本部に導いた目的の真意とは一体何なのか…。

それはジンとリュウだけしか知らなかった。