「ね、麻央の彼は?」 「別れた」 「へぇ、そっか……って、何でっ!!」 叫び声にも動じず、ロッカーの鏡を前に身だしなみの最終確認を行う。 「いつもと一緒よ」 聞かれれば答えるし、聞かれなければ話をしない。 淡々と話してロッカーを閉めた私に、着替え途中で乱れた服装のまま慌ただしく詰め寄る日向。 素直に感情を表現できる日向が何だかいいな、と思える自分がいて落胆してしまう。 もう、そんなものは捨て去ってしまったはずなのに。