「日向、今日一緒にご飯食べない?」


ようやく踏み出した一歩。

制服に着替えている途中の日向は目を丸くさせ、そして飛び付いてきた。


「麻央ーっ!!」

「ちょっと、ブラ丸見えだから。せめて上、着てってば」

「だってだってー、麻央から誘ってくれたの初めてなんだもん!!」


ギュッと抱きしめられた体が温かくなる。

こんな簡単なこと。

遠回りしてやっと掴んだ。


「日向ありがとね」


信じなければ信じてもらえない。

追わなければ掴めない。


心にかかる雲が流れてゆく。