特に気にせず着替えを済ますと、洗面所へ急ぐ。

鏡を覗き込むと、額にびっしょりと汗をかいていて。


鏡の中のあたしの眉間にしわがよる。

そういえば、なんか、怖い夢を見てた様な気がする。


なんだったっけ?

そうだ、

体を渡せ、とかなんとか、誰かにせまられてたような。


思い出そうと首をひねるあたしに、

ゆりちゃ~ん、遅れるわよ、

って、ママの声がかかった。


いっけない!

急がなくちゃ。


近頃、忙しくてあまり寝てないからかな。

新人戦が終わったら、ちょっと息抜きしなきゃ。


大急ぎで朝ごはんをかきこむと、


「行って来ます!」


あたしは後ろも振り向かず、学校へと駆け出した。

テニスラケットを肩からかけて、いざ、朝練へ!