【完】不良な君の甘い蜜

「しんしん、自転車の鍵、貸してくれる?」



「なん?参加せんとー?」



私の怒りがまだ伝わらないらしいしんしんは残念そうに言う。



「しない!用事があるの!」



凄い勢いで私が言うと、しんしんは首を傾げて自転車の鍵を私に手渡した。



私はその鍵を受け取ると、財布を持ってしんしんの家を飛び出し、ある目的のために全力でペダルを漕いだ。



ムカつく気持ちを23.5センチの足に込め、そりゃもう、光よりも早く進む気持ちで。



「ムカつくー!」



…思わず口に出して叫んだら、公園でサッカーしている小学生にジロ見された。