「…まあ、またスポンサーに関しては祥太郎にでも連絡入れておくから」

山場を越えた塩野さんはあたしの連絡先を敢えて聞かなかった。

…井上さんの目が怖い。

「…あのね」

塩野さんは呆れながら言う。

「ぽっくん、子供すぎる」

井上さんは頬を膨らませた。

「彼女達は本当に厳しい状況でレースをしているの。
協力しよう、という話になんでヤキモチ焼くの?」

…って、そんな話で喧嘩しないで欲しい。

「そのお金、ボクにも使えよ〜?」

「何、それは結婚しろと?」

「うん!」

井上さんは大きく頷いた。





「逆プロポーズか」

三木さんは苦笑いをしていた。

塩野さんは頭を抱えて

「今の状態なら、無理」

「えー!何で?」

また口論が始まった。



「こんな大人にはなってはいけないよ」

三木さんが苦笑いをしながらあたしと奈々を見つめて笑った。