Romance Cutter ―初恋の傷請け負い人― 第六話・最終話

全体的にピンク調にコーディネートされた部屋。程良い程度に漂うローズの香り。そして、おきまり以上におきまりの、ベッドの枕側にそっと置かれた、クマのぬいぐるみ。


-いつも、このぬいぐるみを抱いてほのかは…-


余りにも男の、女の子に対する理想型である、垣間見られたほのかの側面に、後一息、何かのきっかけがあれば、そのままベッド付近にたたずんでいるほのかを、ケイはぎゅっと抱きしめてしまっていたかもしれない。
だが、そのケイの理性を保たせたのは、幸か不幸か、ほのかのベッドで休む、とある眠り姫であった。
ほのかは、その眠り姫の頭を優しくなでると、その眠り姫に対して言った。
「ひどく傷ついていたのね。早く元気になってね。」
「…その子は、昼間の…」
「そう。結局お義兄ちゃんと一緒に、私たちの家に運んできたのは良いけれど、精神的な疲れが激しそうだったから、私の部屋で休んでもらっているのよ。今の所、私しかこの子を救えそうにないから。」