Romance Cutter ―初恋の傷請け負い人― 第六話・最終話

ケイはドキッとした。


-いつもの、ほのかとは違う-


ケイはほのかの表情が、以前よりやわらかくなっている様な気がした。いや、もっと言えば、最近のほのかの表情は、確かにやわらかい。何と言おうか、今までの人形のような無表情さからは、うって変わって、怒った時や悲しい時の表情が分かるようにはなってきている。
ただ、今日のほのかは特に、ありありと顔に今の感情が表れている。


-ほのかが、涙を流している-


ケイは初めて、ほのかが涙を流している所を見た。
「ほのか!涙が!」
「…初めて流したわ。これが、『涙』なのね。お義兄ちゃん。後、私が欲しいのは、『笑顔』。それさえそろえば…」
「それさえそろえば?」
ケイは、おうむがえしに答える。
「…恋が…してみたい。」