だが、ケイの身体は次の瞬間には、ほのかの部屋の中に飛び込んでいた。
中は真っ暗だった。電気一つ付けられていない部屋の中、ケイはベッドの上で足を崩し、クマのぬいぐるみを抱きしめうつむくほのかを発見した。
「ほのか…」
「…」
「…なぜこんな事を続けるんだ?初めはリストバンドで覆えるぐらいだった君の左手首も…」
ケイは、右手でほのかの左腕を掴み言った。
「…包帯でしか隠しきれないぐらいに…その傷は腕にまで延びている!
そこまでして、君の願う物って、一体…」
「…笑顔。」
「えっ?」
…ざあざあと、いつしか激しく降り出した雨の音が、窓越しに部屋の中に響きわたる。不気味な夕立の叫び声が、長く続く二人の静寂の間に割って入る。
…ふっと、ケイが掴んだほのかの腕を放しかけたその瞬間、ガシッと今度はほのかの左手がケイの右手を掴み返した。
中は真っ暗だった。電気一つ付けられていない部屋の中、ケイはベッドの上で足を崩し、クマのぬいぐるみを抱きしめうつむくほのかを発見した。
「ほのか…」
「…」
「…なぜこんな事を続けるんだ?初めはリストバンドで覆えるぐらいだった君の左手首も…」
ケイは、右手でほのかの左腕を掴み言った。
「…包帯でしか隠しきれないぐらいに…その傷は腕にまで延びている!
そこまでして、君の願う物って、一体…」
「…笑顔。」
「えっ?」
…ざあざあと、いつしか激しく降り出した雨の音が、窓越しに部屋の中に響きわたる。不気味な夕立の叫び声が、長く続く二人の静寂の間に割って入る。
…ふっと、ケイが掴んだほのかの腕を放しかけたその瞬間、ガシッと今度はほのかの左手がケイの右手を掴み返した。


