Romance Cutter ―初恋の傷請け負い人― 第六話・最終話

催眠術-言われてみれば、そう言う何かを持って生まれてきたのかもしれないとケイは思った。
ほのかは話を続けた。
「その次の日、その子は見違えるほど元気になっていた。また新たな恋愛、探してみるって、その瞳はすごく輝いていた。その時、私感じたの。この左手首の傷に…」
「何を?」
「これを原点として、この左手首に、これからも様々な女の子の初恋の傷を刻んでいく事になるんだろうなって。そしてそれらの傷跡達が、いつか私の願いを叶えてくれるんじゃないかなって。」
「…ほのかの願っている事?何なのそれは?」
「うん。それは…」
「…それは?」
ケイが尋ねると、突然ほのかは部屋のドアを開き、
「…いずれ教えてあげるね。」
と言い、ケイを部屋の外に追い出してしまった。
「ち、ちょっと待ちなよ、そこまで言っといて、それはない…」
ケイはドアノブに手をやったが、すでにいつもの通り、鍵がかけられていて開かない。中からほのかの声が聞こえてきた。