頭の上から轟音と共に飛び立つ飛行機を見つめながら、その眩しさにあたしは、ただ目を細めた。


未だに下手くそな笑顔しか作れなくて、それでも精一杯で笑ったつもりだったのに。


悲しい別れじゃないはずなのに、なのに泣けてくるなんて。



「百合、いつまでも子供みたいな顔すんなっつの。」


彼は隣で笑ってる。



「そんなんじゃまあちゃん、心配して飛行機から飛び降りてきちゃうよ?」


ジュンは冗談にもならないことを言って、無理やりにあたしの口角を持ち上げてくれる。


なので余計に変な顔になった気がするけれど。


本日、真綾とジローは日本の一番南へと飛び立った。


もちろんそれは、彼女の療養が目的らしいけど、南の島と青い海がふたりにはよく似合うと思う。


見送るあたし達はどうだろう。



「寂しい?」


「そりゃあね。」


「俺がいるのに?」


「アンタの話なんかしてないでしょ。」


「うわっ、それヒドイから!」


言いながらも、やっぱりジュンは笑ってる。


そしてひとしきり腹を抱えた後で、でもさ、と彼はあたしへと視線を移した。



「まあちゃんは、きっと大丈夫だよ。」


「うん。」


「で、百合も俺がいるから大丈夫。」