おきまどはせる 白菊の花 

         凡河内躬恒(29番)
         

              
         
           
               
はじめての制服



はじめての校舎


         
はじめての体育館



はじめて見る黒い塊



たくさんの男子



その中でも



あなただけはわかった



なぜなら



あなたひとりだけ



輝いて見えたから



たくさんのなかで



あなただけが



光って見えた



きっと



今のわたしが



そう思わせたのだろう



そのとき、一人で立ちすくんでいたわたしに



ほら、あの人だよって



あの人が、あなたのカレシになる人だよって



まっ白い雪の大地でも



あなたという白菊がわかるよう



未来のわたしが、そうささやいたの



幸せになれるように



あなたと同じ季節を



歩いていけるようにと