真子を抱き締めようとした仁の手を、銀ちゃんが思い切り振り払った。


やるね。


「おまえに真子はやらねぇよ。俺と真子は強い絆で結ばれてる。おまえが真子に触るなんて、100年早いんだよ。」


100年か、銀ちゃん面白い。


でも、銀ちゃんの顔は真剣だ。


泣かないで仁、私が抱き締めてあげるから。


二人が出て行き、放心状態の仁。



「何であいつなんだ。俺のほうが真子を、」


何処までもバカな仁。


「もう諦めな。あの二人は運命の相手だったの。どんな障害を乗り越えても結ばれる運命だった。男だったら、いつまでもグタグタ言ってんじゃないわよ。」


まだ何か言おうとした仁の頬を、ひっぱたいてやった。


仁、目を覚ましなさい。


仁には私がいるんだから。


今日は私で我慢しなさい。


そう声に出せたらいいのに。