部屋の中からは、ひたすら謝る若の声が聞こえた。


何度も謝る若の声と、俺が決して口にすることが出来ない言葉。


それは。


「真子、愛してる。」


若の腕に抱かれ、幸せな笑顔見せるきみが好き。


若は俺が真子さんを好きな事に気付いてるのに、何故何も言わないのだろ。


いつもの若なら凄い剣幕で殴りつけるのに、何故。


何も言わない若がよけいに怖い。


たとえ、若が何を言おうと、俺は認めるつもりはなかった。


俺の気持ちを誰にも話すつもりもないし、俺の思に誰も触れてほしくない。


それが若であっても、俺の真子さんに対する思いを認める訳にはいかなかった。


真子さんを好きな気持ちは墓場まで持ってくつもり。


きみをただ遠くから見守りたいだけ。


きみの涙は見たくなかった。