「希…更さん」

ぼやけた視界に映るのは、希更さんの戸惑った表情だった。

「ハルくん、なのね? コレは一体、どうしたの?」

「あっ、月夜が…」

「月夜くんが出てきたの?」

びっくりする希更さんを見ながら、僕は軽く頭を振った。

「ええ、僕を助ける為に…。どうやら例の事件の首謀者は、遊間だったようです」

「やっぱり、か…」

重々しい声で現れたのは、門馬さんだった。

「門馬さん…。気付いていたんですか?」

「何となく、刑事の勘でな。前々から怪しいとは思っていたんだが…」

「…その口ぶりだと、彼が怪しいと分かっていて、あえて僕と接触させてたってことですかね」

「えっ、それは…」