「・・・えぇー!? またぁ!?」


 私の好きな人を知っている、安土 優里(アヅチ ユウリ)が驚きの声をあげた。
 私は優里に先程のことを話したのだ。

 優里も莉音と幸恵の被害者である。莉音と幸恵が、優里の好きな人と仲良くしているらしい……。
 勿論のこと、莉音は優里の好きな人を知っているのだ。


「うん……」


 私はなんとなく、”1-1”の教室の札をみつめる。
 莉音、幸恵、優里、石神は一年一組だ。
 私は一年三組。
 特に親しい友達と、見事にクラスが離れてしまっている。そして好きな人とも……。
 私と優里は吹奏楽部で、莉音と石上はバスケ部。ちなみに幸恵は陸上部だ。
 部活も違う私は石上と話す機会がないのに対し、女子バスケ・男子バスケと分かれているとはいえ、同じ部活とクラスで話す機会は山ほどある。


「―――あ、そういえば! 亜里沙がいつも石神を殴っててさぁ……」


 優里が思い出したように話し出す。

 ―――紺屋 亜里沙(コンヤ アリサ)
 背が高い。そして横にも大きい。つまり太っている、デブなのだ。

 顔も特に可愛くない。幸恵と同じく男好き。


「殴ってるの!? 酷い!」


「それだけじゃなくて……。石神は亜里沙を恐れて? なのか、いつも敬語使ってるんだよ……!」