―――事故現場にて。 制服を着た謎の少女が、谷村 萌の死体を見て、にやりと笑った。チェシャ猫のような笑い方だった。 血の生臭さを含んだ風が吹き、少女の長い艶やかな黒髪が靡く。 「……」 無言で細フレームの眼鏡を外し、もう一度……ふっと笑った。 そして、 「……呪い成功ね」 そう小さく呟き、その少女はその場からすっと消えた。まるで最初からそこにいなかったかのように。 彼女を見ていた人物は、誰一人ともいなかった。