「そう、だったんだ……」


 真里の顔も高井の顔も、哀しみの色で満ちていた。
 ウチはとっては谷村が死んだ理由なんてどうでもよかった。どうして、高井が悲しそうな顔をしているか、それがウチにとっての一番の問題だ……。

 目の前で人が死んだから?
 クラスメイトが死んだから?
 彼女が死んだから?
 愛する人が死んだから?
 一体どれ……?

 そんなことを考えているうちに、救急車がやって来た。
 でも明らかにこんな状態で生きているわけがない。脈をとって、救急隊員達は顔を見合わせる。頭を振り、無念そうな顔をしていた。
 谷村 萌の死亡確認。午後四時十五分のことだった。
 谷村を救うためにやって来た救急車も、結局死体の運搬と死亡確認をするだけにやって来たこととなる。

 そしてパトカーもやって来て、高井は警察官に谷村が轢かれた時の状況を話すことに……。
 ようやく、ウチと真里は帰ることにした。お互いに口を閉ざしたままだった。


「……すごいもん、みちゃったね」


 真里が重い口を開き、ぽつりと呟く。


「うん……。ねぇ、今日は遊ぶの、やめておきましょ?」


「そうだね……」


 ウチも真里も、遊ぶ気分にはなれなかった……。