「紫苑?一問もさっきから進んでないわね。どうしてかしら」

「む…っ、難しいからです!!」

「紫苑が仲良くなった方の話は、私もとーっても聞きたいんだけれど、その前にやらなきゃいけないことあるわよね?」

「は…はい!!」



いそいそとやり始める紫苑と心の視線を感じ、テキストを急いで取り出す流衣。


…おい、流衣。テキスト逆だぞ、お前。



と言い掛けた瞬間、携帯のバイブの振動がポケット越しに伝わってきた。


適当に操作し、今来たメッセージを確認し、電源を切る。




「……わり、野暮用」

「音弥」


ナツの透き通った瞳が俺を映し込み、何かを探るかのように一瞬だけ細められた。



「…応援、欲しかったら呼んでもいいよ」

「いらねえよ、ばーか」


口角を上げ、笑ってみせればナツまでもクスクスと笑い出した。


「病院の御曹司が人ケガさせてどうすんだかー」

「ほんとだわ」



まあ、それは俺も否めねえよ。