見つめ直さなきゃ、過去のあたしを。今のあたしを。
「…ごめ、あの…」
「1人になりたいんでしょ?分かってるってば!あたしたちは帰るから心はゆっくり考えてね」
優しく微笑む紫苑の表情につられて、あたしもようやく笑えた。
いつもなら立場が逆な筈なのに。優しい紫苑はこんなにも大きい。
何も言わない流衣に一度も視線を向けなかった。だって…流衣、あなたなら、きっと…。
皆と別れたあと、河原に残されたあたしは足を別の場所に向ける。着物だから目立つとか、そんなこと気にしていられないぐらい…あの場所を求めていた。
あたしは、…紫苑みたいに素直じゃないから殻を被って、大人ぶってないと不安になる。
紫苑たちは気付いて何も言わないけれど、ナツなんて特に頻繁にあたしの顔覗き込んで「…平気?」だなんて言う。
平気じゃないよ。
なんて、絶対に言えないから。
ダイジョウブ。
嘘の殻がまた1つ、あたしを覆う。

